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第8話 Moe Keale Magic -3

 2007年、Moe Keale が他界して5年になる。あっという間に過ぎた5年だったが、この5年間に私はどれだけ多くの Moeさんにつながる人物に会わせてもらったことだろう。
 Ohana o Keale の“ Aloha の遺産”を伝えていく活動も、「 Aloha が世界のキーになる」と語っていたMoeさんの言葉を裏付けるように、それぞれの役割を持った人々が、まるで何か見えない力によって、次々と集められている状態が続いている。そして来年こそは、Moe Kealeとの出会いについて話していきたいと思っている。
 今年最後に、第4話のおしまいに書いた「ミカ、ステージの上で、Kealeだということを忘れるな!」というMoeさんの言葉にまつわる話しを約束通りしようと思う。
 2000年、それは私の最初で最後のコンペティションを経験したときの出来事だった。これを機に私のフラに対する考え、方向性は大きく変わっていった。
 そして、波風が立つことを恐れずに、信念を貫き、勇気を持ち行動したことは、そののちに、 Moe Kealeの養女として、彼の遺言である Aloha の遺産を伝えていく為に不可欠な“特別なフラ”を与えられるという好運につながった。
 自分で決め、起こしたと思っていた行動は、実は天によって決められていて、導かれていたのだったとつくづく感じている。“特別なフラ”については追々話していくつもりだ。
 さて、ハワイのハラウのフォーストラインとしてコンペティションに出場することになった私は、何と本番の2ヶ月と少し前に、日本に戻ったとき、駅の階段で転び捻挫をしてしまった。
 学生時代のバレーボールで2回、ミュージカルのシンガーダンサー時代にステージからの転落で1回、すでに3回も捻挫していた右足は、ついに4回目の捻挫をしてしまった。
 完治するまでに練習に参加しないわけにはいかない。普通に踊っているようにしながら、実はほとんど左足だけで踊るというプロの芸当を駆使し乗り切るしかなかった。強靭な足の筋肉を持っていたことはラッキーだった。
 しかし、このアクシデントに始まり、私の周りでは不可思議な出来事、納得のいかない出来事、とにかくありとあらゆる、どう考えても“良くない事”が起きていった。
 いろいろな意味で順調、平穏とは程遠い、何かがいつもざわついている様な状態の中で、私はひたすら頭と心を必死に整理しながら、何とか当日を迎えた。
 カヒコを踊る本番前のことだった。全員バックステージですでにラインナップをし、スタンバイしていたとき、 Moeさんが「ミカ、こっちに来なさい」と私一人だけを呼んだ。何故私だけ? とても厳しい顔をしていたので、何か注意されるのかと少し緊張しながら近くに行った。
 すると、私の耳元でこう言った。「ミカ、ステージの上であなたは Keale だということを忘れるな!」 Moeさんの顔見ると、私をじっと見つめ「いいな!」と念を押したので、「はい!」と力強くうなずいた。
 そして Moeさんは私に列に戻るよう指示をした。列に戻った私は、心の中で Moeさんの言葉を何度も繰り返し、ステージに向かった。このあとステージの上で私は不思議な体験をしたのだった。
 踊っている間中、私はずっと何かに背中を押されている感覚だった。それは体中で押し返さないと前につんのめりそうな勢いを持っていた。それはものすごいエネルギーを放っていた。とにかく前かがみにならないように身体を垂直に保ちながら踊り続けた。終わってすぐ、このことは第三者にも話した。
 振りや基本のステップに手こずっていた“ミカさんが頼り”と私の部屋を訪れることもあった後列の子達のパワーを感じたことなど今まで無かった‥。何が起きたのだろう? 何かが違っていた。
 最終日、私たちはカヒコ、アウアナで1位という結果だった。皆で歓声を上げ、抱き合って喜んだ。賞には程遠いと言い切っていた人がいたくらいだったので、盛り上がりは尚更だった。私自身、実はそう思っていた。
 その時又 Moeさんが私一人だけを呼び、耳元で今度はこう言った。
 「 Mika, This is … Keale Magic.」
 静かでしっかりとした口調だった。私はポカンとして Moeさんの顔を見た。そのあと、私は喜ぶ仲間や先生を見ながら一人だけ心はどこか遠くへ、とても遠くへ行っていた‥。
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by ohanaokeale | 2006-12-24 00:01