第1話 Moe Keale Magic -1

2002年4月15日のMoe Kealeの他界から約1ヶ月後、私は彼の夢を見た。「ミカ、急ぐな!」いつもそうだったように、Moe Kealeは言い聞かせるような語り口でジッと私を凝視していた。「何を?」私が問いかけると同時に彼の顔は消えた...。
 私の見る夢はいつも映画を観ているように登場人物やストーリーがリアルで、夢で見たことと同じことが必ず起こることを私の家族や一部の生徒はよく知っている。
 私の身の回りに不思議な偶然が続くようになったのはこの夢のあとからだった。と同時に、私は生前のMoe Kealeの言葉のひとつひとつを思い返し、起きた出来事につなぎ合わせていくようになった。
 スタジオの初めてのHoikeが約1ヶ月後に差し迫った2002年6月のある日、私は1本の電話を受けた。7月下旬に毎年ハワイで開催されているウクレレフェスティバルの出演依頼だった。アマチュアのウクレレグループの演奏にフラで華を添えるものだったが、依頼主のグループリーダーはプロにアマチュアとの共演をお願いするのは失礼なのですが、とやたら恐縮していて、初めからダメもとで電話したと言う。
 Moe Kealeは生前このフェスティバルにウクレレのマスターとして特別ゲストで出演していた。彼は主催者のRoy Sakuma氏の依頼に、あるときから日時だけを連絡するように言い31年間出演していた。
 普通ウクレレフェスティバルにフラが登場することはあまりない。しかし私はこの電話の後、第1回Hoikeの最終準備真っ只中にも関わらず、踊る歌のリサーチにすぐハワイへ飛んだ。
 7月28日、自分の出演時間が近くなり、カピオラニバンドスタンドのバックステージにスタンバイしているときのことだった。真っ白なロングドレスに身を包んだ女の人が、2人の大きな男性に両側から寄り添われ、まっすぐ私の方へ向かって歩いてきた。
お互いの顔がわかる距離になり、Moe Kealeと30年間連れ添っていた未亡人Carolだということがわかった。私たちが互いに駆け寄り1分位抱き合ったあと、「Hi! Sister」と彼女の脇に立っていた大きな男性が私に笑顔で声をかけてきた。
2人の顔と体型を足して2で割るとMoe Kealeそっくりだった。が、はじめて会った2人がなぜ"Sister"と声をかけたのだろう?彼らはそれぞれMoe Kealeのお姉さんとお兄さんの子、つまり甥だった。世の中に知られているIZのいとこだった。この年主催者は Moe Keale の今までのウクレレフェスティバル出演の功績を讃え、表彰した。その受賞で3人が招待されていた。私たちは積もる話しもあったが、お互いの出番のあとカピオラニパークのピクニックシートでおち合う約束をしてその場を離れた。
 この偶然の出会いに私は身体が震えた。しかも、あとで甥達の口からMoe Kealeが生前私について彼らに語っていた事実を聞いた。Moe Kealeが私をHanai(ハナイ)したというのは私の作り話と言いふらされたりもしたがこれまでジッと我慢して口を閉ざしてきた。私は思わず「Moeさん!」と天に向かい叫んでいた。涙がポロポロとこぼれた。そしてやはり神様は全てを見て知っていることに感謝した。
 翌年から彼ら甥達と私は"Ohana O Keale"としてMoe Kealeの代わりにウクレレフェスティバルのステージに立つことになった。これは全てほんの、ほんの始まりだった。


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by ohanaokeale | 2005-04-11 19:00


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